2021年4月から省エネルギー基準計算支援プログラムがver3.0に変わることとなり、外皮計算もver3.0に対応することとなりました。どう変わったのか?もう前の計算ではだめなのか?いつ、だれが決めて発表とかしてないんじゃないの?と思いますが、調べてみました。
その前に、この決まりはもう絶対にこれでやらなければいけないのか?
2021年4月から改正するはずだった「4月からはこの方法しか受け付けません」というのが、そもそもの省エネ計算プログラムver3.0の完成が遅れたために、
「当面の間、従前の方法でも可能」ということになっています。2021年4月下旬で、評価協会の外皮計算エクセルシートが、やっと3.0対応のものが出てきました。ほんと少しの差で遅れたんでしょうね。
なのでこれから説明するものは、2021年度では使用してもいいし、今までのやり方でも構わない。ということになります。でも1次エネ計算書はver3.0が出やすくて、旧バージョンを開くのも面倒だから、早めにこれからのver3.0に慣れておいて申請した方がいいのではないでしょうか?
2021年度版 外皮計算の方法が変わった?ver3.0?基礎壁をどうするの?
2021年度より、外皮計算方法のルールが少し変わりました。内容は
- 基礎壁の計算方法が変わった!
- 簡易計算法②が廃止になった!(補正熱貫流率がなくなった)
- 付加断熱の場合の計算方法が変わった!(面積比率の変更)
- 開口部の仕様基準が廃止になった!
- ドアの熱貫流率と日射熱取得率が追加された?
- サッシなどの取得日射熱補正係数の生産値が変わった!
- 地域区分が変わった!
の7項目が変わりました。こんなに変わるの?!と思って思考停止したくなる気持ちもわかりますが、決して難しいとは限らないので落ち着いて理解していきましょう。
基礎壁の計算方法が変わった!
基礎・基礎壁の範囲について
いままでは、GLから400までを「基礎」、400を超える部分を「基礎壁」としていた。
これからは、GLから土間床までを「基礎」、土間床底盤を超える部分を「基礎壁」ということになります。なので必ず、基礎壁は部位U値計算シートで計算して、面積も算出する。ということになります。
基礎の線熱貫流率の算出方法について
これからは
①基礎形状によらない値を用いる方法
デフォルト値が示されていて、安全側の値
②定常二次元電熱計算を用いて求める方法
①よりも線熱貫流率が小さくなる値
③非定常二次元電熱計算を用いて求める方法
①、②よりも線熱貫流率が小さくなる値。簡易プログラムが用意される予定
となります。なんのこっちゃ?と思いますが、評価協会のver3.0対応のエクセルシートを見ると、たいしたことではありません。
評価協会の基礎の計算シートはこうなりました。なるほどですね。
簡易計算法②が廃止になった!(補正熱貫流率がなくなった)
記載する必要はないと思いますが念のため、部位別の熱貫流率の計算方法であった簡易計算法②が廃止になりました。もう使えません。今まで補正熱貫流率と断熱材のみで部位の熱貫流率を求めていた方、残念です。これからは熱橋面積比や、熱伝達抵抗値などを計算に入れる簡易計算方法①で行きましょう!
付加断熱の場合の計算方法が変わった!(面積比率の変更)
付加断熱の熱橋面積比って、面倒でしたよね・・・
今回はそれがなくなりました!
今度は「断熱材を貫通する熱橋部を有する場合の断熱材熱抵抗低減率「0.9」を用いて算出」することになりました。(付加断熱の外側の断熱材の厚さに0.9を掛けるのが基本)
なお、いままでどおりの熱橋を使わない、外貼りで直貼りの場合は熱橋部が発生しないのでその場合は必要がありません。
開口部の仕様基準が廃止になった!
今まではサッシとガラスの関係で熱貫流率を求めることができましたが、それはなくなりました。
①試験により求めた結果
②計算により求めた結果
の熱貫流率で計算します。使用するサッシが特定されていれば、現状ではメーカーが製品の熱貫流率をHPで示しているので問題はありません。2021年4月以降対応の資料に変わっているので注意ですが・・・
あと、海外の製品や造作サッシなどは、解説書に定めている計算を使って熱貫流率を求めなければいけません。
ドアの熱貫流率と日射熱取得率が追加された?
袖付きドア・欄間付きドアの全体で熱貫流率を求める方法が追加されます。メーカーの示した資料でも問題はないですし、袖と欄間部分、ドア部分のそれぞれの熱貫流率を用いて算出しても問題はありません。
サッシなどの取得日射熱補正係数の生産値が変わった!
開口部の日射熱取得率を求めるときには、「開口部の日射熱取得率」に「取得日射熱補正係数」を乗じて求めることになっています。この「取得日射熱補正係数」は
①デフォルト値(暖房期0.51・冷房期0.93)
②近似式で求める方式
③数表から求める精算値
のいずれかで求めることになっていましたが、これからは
③の数表から読み取る精算値が「日よけの効果係数とガラスの斜入射特性から求める方法に変更」となります。
要は③が変わるということなので、計算書のプログラムで使われているのはおおよそ①が多いので問題はないと思われます。
地域区分が変わった!
2020年度までは新旧どちらの地域区分でもよかったのですが、2021年4月からはすべて「新地域区分」の申請となりました。8地域にかかる地域は注意です!(まあ結果的に適合条件値が緩くなるので、間違えたら計算を設定し直せば良いだけです)
まとめ
以上、外皮計算についての2021年4月からの変更事項でした。
再度ですが、2021年度では使用してもいいし、今までのやり方でも構わない。ということになります。でも1次エネ計算書はver3.0が出やすくて、旧バージョンを開くのも面倒だから、早めにこれからのver3.0に慣れておいて申請した方がいいのではないでしょうか?