安全側?不利側?外皮計算における考え方は?各部位や高さ、熱伝導率・熱貫流率について

外皮計算をしていると、各部位のパーツ数が多かったり、使用する建具の種類がバラバラすぎて、一つずつ面積出して熱貫流率を出して・・・あっ!勾配があるから・・・とか、えっ?軒高より断熱材が下にある時は何で断熱材の下端で寸法とるの?

といった場合によく、「安全側で検討してください。」「不利側で行けば大丈夫ですね。」

・・・どういうことなんですか!?なんですかその専門用語・・・

なんだかわかっている人っぽくてうらやましい・・・

と最初は思ってしまいますが(笑)

では外皮計算において、安全側や不利側とはどういうことでしょうか?

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安全側・不利側の考え方

実は、安全側と不利側というのは反対の意味があるように思えますが、実は同じ意味です。満たす制限の中でもその数値以上の厳しい方を選択することが「安全側」といえます。

「安全側(不利側)」の反対の言葉として「危険側(有利側)」という言葉があるといえます。制度やルールを無視して自分の有利な方で物事を決めること。これが「危険側(有利側)」といえます。

断熱等性能等級の外皮計算において、安全側(不利側)の値により「UA値」「ηA」「ηAC」「ηAH」を算出することは可能ですが、その結果に基づいて算出した一次エネルギー消費量は、「危険側(有利側)」の値となる場合があるので、一次エネルギーの算定を必要とする申請に用いることはできないことがあります。ここだけは注意です。

断熱等性能等級の基準のひとつである冷房期の平均日射熱取得率」は、一次エネルギー消費量においては、暖房期の日射熱取得率と正反対の関係にあるため、安全側の余裕は無くその建築物の正確な性能及び数値を入力しなければならないとされています。

つまりは、UA値(平均熱貫流率)に使われる値を求めるときの数値(面積や熱伝導率・熱貫流率など)は余裕を持った数字「安全側(不利側)」で大きめに参入してもよいが、η値(平均日射熱取得率)や一次エネ計算の場合は安全側で入力するのは適当ではない。ということですね。

そもそも外皮計算や一次エネ計算などは、省エネ法制定の背景となった省エネの普及や地球温暖化抑止という目的のためのものなので、厳しめに考えていくという姿勢が大切だと考えられますね。

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「安全側(不利側)」にする場合は?各部位や高さ、熱伝導率・熱貫流率について

基本的に何が不利で何が有利かを理解するには、まず全体の計算式や詳細の計算方法を理解したうえで判断するしかありません。

この式のなかから最終的にどうなるとUA値に対して不利になるか、地域係数からの基準UA値に不利になる数字になるかを検討すれば良いと思われます。

といわれても、じゃあ面積は?熱伝導率は?と詳細が分かりたいものです。

通説では「安全側(不利側)」の考え方は

面積・長さ → 小さい、短かい

熱伝導率  → 大きい

熱貫流率  → 大きい

となります。(なお、通説となっているので、状況によっては逆の場合もあるので注意です)

ただし、これは審査する人の判断も大きいので、なにか指摘があったときに「いや、これは安全側ですよ!」「不利側ですよ!」「ほかの機関では大きいほうで安全側でOKでしたよ!(←嘘(笑))」という人もたまにいますが(笑)、審査が遅れてしまう原因になりますのでなるべく戦う姿勢はやめておきましょう。

面倒ですが、安全側・不利側はなるべく多用せずに正確かつ単純な設計・使用部材で誰が見てもわかりやすい計算をすることが一番良いですね。

 

 

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